著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

脳梗塞に対する血栓回収療法の効果

公開日: 更新日:

 脳梗塞脳卒中の一つで、脳の血管に血の塊(血栓)が詰まって血液が流れなくなるため、脳の細胞が死んでしまう病気です。大きな血管が詰まってしまうと、体の半分がマヒして動かなくなるなど、深刻な後遺症が残ります。呼吸が止まって死んでしまうこともあります。

 この脳梗塞の治療に、2005年から健康保険で使われるようになったのが「rt-PA」(アルテプラーゼ)という血栓を溶かす注射薬です。

 多くの患者さんが、この治療により脳梗塞から回復されました。ただ、この治療は全身の出血が止まりにくくなるので、出血しやすいような患者さんには使えません。また、太い血管にできた血栓は溶けにくいという問題があります。

 そこで、最近、急速に進歩しているのが、血管の中に直接管を入れて、血栓を実際に取り除くという血管内治療です。網目状の管に血栓を絡めてそのまま回収するやり方や、「血栓回収療法」と呼ばれる方法がその代表です。

 2015年、国際的な臨床試験で「これまでの薬による治療より、慎重に患者さんを選んで行えばより効果がある」ことが確認され、急速に普及しています。

 先月、日本脳神経血管内治療学会は「この治療が全国で受けられるように取り組む」という学会宣言を出しました。高度の技術が必要な治療なので、安全第一で取り組んでほしいと思いますが、多くの患者さんにとって朗報だと思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カンニング竹山がフジテレビ関与の疑惑を否定も…落語家・立川雲水が「後輩が女を20人集めて…」と暴露

  2. 2

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  3. 3

    東野幸治とハライチが春の番組改編で大ピンチ…松本人志、中居正広のスキャンダルでトバッチリ

  4. 4

    元兵庫県議の死をめぐり虚偽情報拡散…立花孝志氏は名誉毀損で立件なるか?若狭勝弁護士が見解

  5. 5

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  1. 6

    綱とり出直しの琴桜に必要な「脱・頭でっかち」…初場所の足を引っ張ったのは考えすぎる悪い癖

  2. 7

    TBS「報道特集」が検証…立花孝志氏が流したデマと恫喝の実態

  3. 8

    文春訂正で中居正広ファン分裂! 「本人は無罪」vs「悪質性が強まった」で大激論

  4. 9

    中居正広トラブルへの関与を改めて否定も…フジテレビ“当該社員”に「緊急異動」発令で社員ザワめく

  5. 10

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋