【ランニング障害】東京山手メディカルセンター・整形外科(東京都新宿区)
原因は、膝関節の外側には大腿骨外側上顆という出っ張りがあり、その真上を通る靱帯(腸脛靱帯)が膝を曲げ伸ばしするときに擦れることで炎症を起こし発症する。
「靱帯の摩擦が生じるのは、膝の屈曲角度が30度付近。そのため、一般ランナーほど発症しやすいのです。逆に、ハイスピードランナーは接地時の膝の屈曲角度がより深くなるので摩擦が少なく、起こりにくい。ただし、下り坂の練習では膝の屈曲角度が浅くなるので、どのランナーでも発症リスクが高くなります」
ランニング習慣をもつ人は、少しくらい膝が痛くても無理して続けてしまいがち。しかし、膝が痛くなった時点で早めに受診して安静をとらないと、その後の治療期間を大幅に延ばしてしまうことになるという。
「治療から復帰までは、痛くなり始めてから練習をやめた期間の倍の時間が必要です。たとえば1カ月走ってしまったら、治すのに2カ月かかります。ですから、早く中止することが、最も早く治す近道なのです」
治療は、安静を基本とし、安静時痛や歩行時痛があれば消炎鎮痛薬の湿布や飲み薬を使う。それと同時に腸脛靱帯の柔軟性を高めるストレッチを指導して、自宅で毎日続けてもらう。そして、2~3週間したら股関節の筋力訓練を開始。膝の圧痛が消え、痛みを伴うことなく筋力訓練ができるようになったらランニングを再開する流れだ。