精巣がん<1>「片方の睾丸がビー玉のように固く感じた」
ところが、何の自覚症状もないまま、いきなり末期がんを告知されたのだ。
長年、マラソン走行のタイムと闘ってきたが、闘いにもうひとつ、壮絶ながん治療が加わることになる。
■「5年生存率は49%」
精巣がんの発見は長野県軽井沢町で家族(子ども2人)と旅行を楽しんでいたときのこと。大久保さんは早朝、ランニングに出た。2月の軽井沢は、まだ道が凍っている。足を滑らせて崖を転げ落ち、右足を骨折。靱帯も切った。
地元の病院で応急手当てを受け、病院を自宅から近い「東京慈恵会医科大学付属病院・整形外科」(東京・港区)に移した。
足の治療はほどなく終了したが、入院中、異変を感じた。
「病院内を車椅子で移動していましたが、体温37度がどうにも下がらない。理由が不明。また股間に触ると、片方の睾丸がビー玉のようにカチカチに固くなっていることを感じたのです」
超音波などの精密検査で、末期の「精巣がん」が見つかった。5年生存率は約49%である。