新型出生前診断<1>採血のみで3種の染色体疾患を判別
一方、新型のNIPTは採血のみの検査で、3種の染色体疾患の陽性的中率が約90%と高い。ただし、あくまで非確定的検査なので、陽性の場合には羊水検査などの確定検査が必要になることは従来と変わらないという。では、なぜ同じ血液検査でも精度が高いのか。
「従来の非確定的検査の血液検査では、お母さんの血液中に含まれる胎盤由来のタンパク質を測定して、総合的に判定します。NIPTの場合は、胎児に由来するわずかなDNA断片を調べて遺伝学的に判定します。臨床研究は、十分な遺伝カウンセリングの提供が可能な限られた施設で、限定的に行われています。マススクリーニングに使われるような安易な検査ではないのです」
現在、NIPTを実施できる認可施設は全国92医療機関(日本医学会のホームページに一覧)。大半は大学病院や地域の総合周産期センターだ。検査の対象となるのはハイリスク妊婦で、①高年妊婦②従来の非確定的検査で染色体疾患の可能性がある妊婦③過去に染色体疾患の子供を妊娠した妊婦に限られている。
次回は、新型出生前診断の問題点を取り上げる。