心臓病手術後に要介護にならないためには脳梗塞を防ぐ
人生100年時代になり、避けては通れないのが介護の問題です。00年は218万人だった要介護認定者数は、17年には600万人超まで増加しています。心臓疾患は高齢者に圧倒的に多いだけに、中には手術を受けて心臓の機能は回復したのにその後で要介護になってしまう患者さんもいるのです。
その原因の多くは術後の脳梗塞で、リハビリがうまく進まないと寝たきりになってしまいます。実は心臓手術を受けた患者さんは、手術が完璧だったとしても術後に脳梗塞を起こすリスクがアップします。治る過程で生じる癒着によって、どんなに丁寧に縫合しても心臓の拡張が制限されてしまうため、心臓内で血液がよどんで血栓が形成されやすくなり、脳梗塞の原因になってしまうのです。
近年は、術後に心房細動を起こし、それが原因で脳梗塞を発症するケースが増えています。心臓手術を受けた患者さんの20~30%に起こるという報告もあります。心房細動は、心臓が細かく不規則に収縮を繰り返す不整脈のひとつで、心機能低下に伴って心臓内で血栓ができやすくなるため脳梗塞につながるのです。