母方の家系が次々がんに…いつか自分もと覚悟をしていた
大腸がんが判明したのは、2014年12月、40歳の時です。大腸内視鏡検査を受けている私からちょうど見える位置に、カメラのモニターがありました。何げに見ていたのですが、“それ”が写った瞬間に「これはもう、がんですよね」と、はっきり分かりました。よく食べ物が通っていたな、と不思議に思うほど、大腸が狭くなっていたんです。余命数カ月かな、という思いが頭をよぎり、急に現実を突き付けられたような気持ちになりました。
もともと子供の頃から、私もがんになるのだろう、という予想があったんです。母方の家系の多くが、がんで亡くなっていますから……。母に子宮体がんが見つかったのは、確か私が中学2年生の時。母は40代でした。そのちょっと前に伯父が胃がんで亡くなっており、祖父もその後に胃がんと直腸がんで亡くなった。そして叔父も食道がん。祖父の葬儀には、母はがんの治療で入院していて出られなかった記憶があります。
当時はまだ、がんを本人に告知しない時代。遺伝子検査はなく、がんを遺伝と結びつけて考えることも、一般的にはありませんでした。だけど、あまりに立て続けに身内ががんにかかっていますから、私の中に何かがおかしい、という気持ちがあったんです。