カテーテル治療のマイトラクリップは循環器内科が主導を
また、僧帽弁の後ろ側にある弁=後尖がずれてしまっているタイプの患者に対しては、まだ重症になる前の段階でマイトラクリップを行うと進行を抑える効果が高い印象です。腱索が断裂する前の延長して弁が少しずれている段階でマイトラクリップを実施すれば、腱索の断裂を防いで重症化を抑えられるのです。
つまりマイトラクリップは、非常に重症化している段階か、手術するには負担だけが大きい中程度の段階で導入することで、これまで予想されていなかったような治療効果を望める可能性が考えられるのです。まだ症例数は少ないのですが、これから海外を中心にした大規模な前向き臨床試験の結果が良い方向に向けば、さらに普及することが予想されます。
■日本の循環器内科医は世界的に見ても優秀
とはいえ、普及するまでに検討しなければならない課題もあります。
カテーテル治療であるマイトラクリップは循環器内科の領域ですが、外科が手掛けているケースがあるのです。現在、欧米などでも弁膜症のカテーテル治療を外科が行っているところはいくつもあります。ただ、日本の場合は、冠動脈疾患治療を高度なレベルにしてきた循環器内科が主導して行うべきだと考えます。