脂質が“悪者”は大きな勘違い 肉を食べてもなぜ太らないのか
では、なぜ、脂質を取っても太らないのでしょうか? それには3つの理由があります。1つは脂質には全身で37兆個ある細胞を維持するために欠かせず、それだけ多くの脂質が使われるからです。例えば、絶えずつくり替えられる細胞膜は脂質からできるリン脂質が必要です。ほかにもホルモンに似た情報伝達物質などをつくるのにも脂質は必要です。脂肪の一種であるコレステロールは食べ物で賄えないために、肝臓で合成するほど数が足りないのです。
2つ目の理由は、人はそれほど多くの脂質を取っていないことです。日本人の1日平均の脂質摂取量は男性が74グラム、女性が56グラムに過ぎません。余って体内に蓄えられるほどの余裕はないでしょう。
3つ目は脂質は水に溶けにくいため吸収しづらく、肉やバターのような飽和脂肪酸は有収率が悪く、たくさん食べても体内に蓄積するのは難しいことがわかっています。