新型コロナ対策にも効果的 免疫と予防の「切り札7つ」
新型コロナウイルスの感染者が1000人を突破。感染が確実に広がっていて、感染阻止は達成できそうにない。そうはいっても、8割は軽症だから、感染しても乗り切るだけの免疫力と予防が大切だ。では、十分な免疫力をキープし、しっかり予防するにはどうするか。
Q 再陽性は再感染か?
× 大阪の女性は、1月下旬に新型コロナに感染。その後の検査で陰性になったが、再び陽性になっている。
「その女性について、1度目の陽性反応が陰性になってからは、自宅でマスクを着け、静養し、外出を控えていたと報じられました。そのことを考えると、再感染の可能性は低い。恐らく症状が落ち着いて、ウイルスが検出できないくらい減少したものの、わずかなウイルスが体内にとどまっていて、免疫力の低下などで再び活性化したのでしょう。医学的には再燃といいます。一般の肺炎ではまずありませんが、新型コロナでは再燃が時々あります」(東京医科歯科大名誉教授・藤田紘一郎氏=感染免疫学)
たとえば、水疱瘡のウイルスは、治ってからも体内に残る。それが高齢になって免疫力が下がると、帯状疱疹を起こすことが知られている。
再燃を防ぐには、十分な免疫力に尽きるという。
Q スロトレは免疫力を上げる?
○ 筋肉をよく動かすと、ホルモンのような働きをする生理活性物質マイオカインが分泌される。東大大学院教授の石井直方氏は昨年12月の取材でこう語っていた。
「マイオカインはいくつもあり、その働きは免疫力アップのほか、認知症予防や抗うつ作用、抗がん作用なども知られています。実体験でエビデンスではありませんが、僕が悪性リンパ腫を克服できたのは、ボディービルで鍛えた“筋肉貯金”の効果が大きいでしょう。骨髄移植する前の無菌室では、スロトレをしていましたから」
筋トレをゆっくり行うのがスロトレだ。手っ取り早いのはスロースクワットで、4秒かけてしゃがみ、4秒かけて立ち上がる。
まずは1セット10回でいいという。
Q 歯科医院で口腔ケアをしてもらうのは?
○ 東京歯科大の奥田克爾名誉教授は2003年9月~04年3月、65歳以上の190人を、歯科衛生士が口腔ケアをする98人と、自分で口腔ケアをする92人に分けてインフルの発症者数を比較したところ、セルフケアグループは9人だったが、プロのケアを受けていたグループはわずか1人。感染症予防には、毎日きちんと歯磨きするのはもちろん、歯科医院での定期的なチェックが重要だ。
インフルの学級閉鎖がゼロになった消毒法
Q 隔離されると、持病の薬をもらえない?
△ 通常なら医療支援が行われ、持病の薬の供給が遅れることはないが、リスクはある。
「クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号には、乗船時に服用中の薬剤を英文で申告することになっていたのに、届け出を怠っていた人が少なからずいて、医療支援が遅れました。医療チームが支援に乗り出すと、欧米人は『(降圧剤の)アムロジピン5ミリグラムが欲しい』と具体的に答えるのに、日本人は『高血圧の薬2種類』などと曖昧な人が珍しくなかったといいます。東日本大震災の時もそうで、持病を悪化させたケースが報告されています。外出先で体調を崩し、新型コロナの感染が判明しないとも限りません。お薬手帳は常に持ち歩くことです」(医薬情報研究所エス・アイ・シーの堀美智子氏)
持病の悪化は、新型肺炎の重症化につながりかねない。この時期は、お薬手帳を常備しておこう。
Q アルコールなど除菌スプレーは効くのか?
△ 新型コロナは、新型だけに除菌効果を示すデータはない。しかし、インフルエンザながら、富士フイルムは昨年、アルコールと銀イオン(Ag+)による除菌シリーズの「Hydro Ag+」について注目の成果を発表している。
「18年11月から19年3月まで東海大医学部と共同で、神奈川県内の公立中12校(148クラス、4035人)にアルコール濃度60%のクロスとスプレーで消毒をしてもらったところ、導入前は25%だったインフルエンザの発症率が、導入後は10%に低下。学級閉鎖は起こりませんでした。消毒したのは、生徒の机や教卓、ドアの取っ手、階段の手すり、電気のスイッチなど。生徒の登校日に毎日1回、『1日ひと吹き除菌』を行いました」(広報担当者)
学校でのインフル発症率は一般に30%前後とされるからスゴイ。その秘密は除菌効果の長さだ。アルコールは揮発性が高く、通常の消毒剤の除菌効果は短時間で失われるが、同シリーズは独自技術で乾燥後も除菌効果が1カ月ほど持続する。ほかのメーカーも含めたすべての商品ではないという点で評価は△だが、インフル以外の微生物についてはどうか。
「除菌効果は大腸菌と耐性黄色ブドウ球菌、白癬菌で認められていますが、ノロウイルスについては認められていません」(同担当者)
新型コロナ騒動と1日ひと吹き除菌の浸透で、2月の販売実績は対前年比10倍に上る。アマゾンでスプレー(200ミリリットル)は2本セット2764円~。
Q 整腸剤が効果的ってホント?
○ 腸内細菌と感染症との兼ね合いで注目されているのが酪酸菌だ。
「善玉の腸内細菌のひとつ酪酸菌は、腸内で酪酸という短鎖脂肪酸を作り出しています。それが体に取り込まれると、免疫物質のIgA抗体を分泌したり、炎症を抑える細胞を増殖・活性化させたりする。そんな善玉菌を増やすには食物繊維が大切で、短鎖脂肪酸を生む腸内細菌はほかにもあります。市販の整腸剤で腸内細菌バランスを整えておくことも効果的です」(藤田氏)
Q やっぱり疲労はよくない?
○ ヨットレース・アメリカズカップの選手38人を対象にトレーニング期間の50週間、毎週唾液を採取。その結果、風邪などの上気道感染症を発症する3週間前から唾液中のIgA抗体が低下。正常時を100とすると、発症時は70近くにまで有意に減少していた。
IgA抗体が低い時は、疲労感も強く、疲労と免疫力低下は関係することが読み取れる。疲労はためないことだ。
◇ ◇ ◇
できることからコツコツと。それが肝心だ。