高血圧は新型コロナ重症化リスク増 現地中国人医師が警告
新型コロナがSARSよりも感染力が強いのは、新型の方がACE2の発現を活発にする酵素を刺激するため、より細胞に侵入しやすいからだと考えられている。東邦大学名誉教授で平成横浜病院健診センター長の東丸貴信医師が言う。
「ACE2は炎症や酸化ストレスから心臓、腎臓や血管を保護する働きがあり、血圧を上昇させ心臓血管を傷めるアンジオテンシンⅡを作るACEと反対の作用で体を守ると考えられています。そして、ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)やACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)を使用している高血圧症の人やチアゾリジン系糖尿病薬を服薬している2型糖尿病の人は、ACE2が増えているとランセットに報告されました」
また、ACE2は喫煙や炎症などにより肺細胞表面で増加する。本来は、体を守ると考えられているACE2を受け皿(受容体)として、新型コロナウイルスは体内に侵入するのだ。
「従来の研究でも、高血圧症の人がなぜ重症化するのか明確な説明はありません。ただ、血圧の負荷が増すと心臓の機能が低下し、冠動脈や末梢動脈も硬化し、腎動脈の硬化と機能低下などが進み、不整脈や冠動脈疾患も多く見られます。高血圧症の人が新型肺炎になれば、このストレスにより、左心不全、心房細動、下肢動脈虚血、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全などを発症しやすいことは想像できます」