坂本昌也
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坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

第2波に備えて生活習慣病患者が今すぐやっておくべきこと

公開日: 更新日:

 東京都では、規制緩和以降、新規感染者が増えています。6月の1日平均感染者は33・2人で、規制緩和の条件である1日20人を上回っています。7月に入り100人を超えた日も連日出ています。心配なのは、感染第2波がいつやって来るのか、です。

 2カ月ほどの外出自粛で身に染みて分かったのは、刺激がない生活はストレスになるということではないでしょうか。今まで特に意識することなくルーティンでやっていた「外を歩く」「買い物をする」「ランチを外で食べる」「電車に乗って移動する」などが制限される生活は、自覚している以上に心身にストレスがかかります。

 たとえメンタルが強くても、消費カロリー以上に食事をしてしまい身体的ストレスがかかる。一方、仕事などの都合から「巣ごもり」できずに外出せざるを得ない人は、「感染したらどうしよう」「自分に症状がなくてもだれかにうつしてしまっていたらどうしよう」などと不安になり、精神的ストレスが大きくなります。精神的ストレスに身体的ストレスが加わることによって、お互いが相乗的に大きくなる可能性もあります。結果的に、血糖値血圧アップにつながるリスクがあります。

 今、やるべきことのひとつは、第2波が来たときもストレスを極力軽減できる術を考える。そのためには、何が自分にとって大きなストレスになっているかを見極める必要があります。ある人にとっては、家族全員に毎回食事を作り続けること、思うように外食できないこと、自分で作った食事を食べ続けることが大きなストレスになっているかもしれません。

 もしそうなら、「家族で分担して食事を作る習慣をつける」「食事作りがいかにストレスになっているかを伝え、レトルト食品や手抜き料理も良しとする」「お取り寄せも大いに活用する」など、今から対策を講じておくのです。

■自粛前とは数値が大きく変動している可能性あり

 運動どころか、在宅勤務で自宅からほとんど出ない日々が一番のストレスだったという人もいるでしょう。それを痛感したある40代男性は、深夜、人けがなくなった時間帯に夫婦で散歩することを、ウィズコロナでの新しい日常生活に加えました。

 家にいるときは子供の話題が中心になりがちなのが、深夜に散歩すると、人生観や仕事観、老後はどういう暮らしをしたいかなど、日中テーブルで顔を突き合わせているときは気恥ずかしさもあって話題にしないような内容を、お互いポツポツ口にするようになったそうです。

 また、別のご夫婦は、スポーツジムの休業が発表されたとき、「家でじっとしていると太るし筋肉量は落ちるし、何より息が詰まる」と考え、すぐにヨガマットとダンベルを購入。ジム休業のその日から、朝晩夫婦2人でトレーニング内容を決め、実践しました。ジム休業の2カ月間で「自宅でトレーニング」が習慣化。程よく体を動かせていたので、外出できないことによるストレスも少なかったそう。第2波が来て、万が一ジムが休業になっても、自宅トレーニングで乗り越えられるという自信もついたそうです。

 私が第2波が来る前にぜひやっていただきたいと思うことは、血糖値や血圧、コレステロールなどを改めて病院で検査しておくことです。通常夏場には低下傾向にありますが、今回は悪化している可能性が高いです。特にコロナで病院を受診するのを控えていた人が要注意です。そして、第2波が来たら、また同じような状況になると思います。特に糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cは、1~2カ月の血糖値の平均値。以前測って数値が悪くなくても、ストレスフルだったコロナの外出自粛中に大きく変動している可能性があります。

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