胃薬で糖尿病になるリスクが増加 消化器専門誌が論文掲載
糖尿病は生活習慣病の代表で、世界的に患者数が増加している現代の病気です。血糖が上昇して尿に糖が出るばかりでなく、全身の血管が障害されて、腎臓病や心筋梗塞など、全身の重い病気の原因となるのです。
多くの糖尿病は生まれつきの体質と、生活習慣などの環境要因が合わさって起こると考えられています。環境要因の中で最近注目されているのが腸内細菌です。
人間の腸の中には多くの細菌がすんでいて、毎日食べる食事を分け合い、その消化は吸収を助けることで、体の代謝に大きな影響を与えています。
この腸内細菌は食べるものが変わると簡単に入れ替わるのですが、同じ食事をしていれば容易には変化しません。太りやすさのような体質は、生まれつきのものと思われますが、実は腸内細菌によって決められている部分も多いのです。
腸内細菌は薬によっても変化します。最近、胃潰瘍や逆流性食道炎に使用されている、強力に胃酸を抑える胃薬は、腸内細菌を変化させることが知られています。
今年の消化器学の専門誌に掲載された論文によると、こうした胃薬を長期間飲んでいる人は、そうでない人と比較して、24%も糖尿病になるリスクが増加していました。
もちろん必要な時には強い胃薬も飲むことをためらうべきではありませんが、漫然と強い薬を続けることは、他の病気の原因となるケースもあるようです。