卵巣がんを予防する効果も 「ピル」の意外な効能と副作用
英国の医学雑誌「ランセット」(2008年)に、ピルを長期間服用することで卵巣がんの発生が半減するという研究結果が発表されています。卵巣がんの抑制効果は服用期間が長いほど高く、5年で約3割、10年で約4割、15年で約5割、発症リスクが下がるとしています。
このようにピルで排卵・月経を抑えることは、子宮の負担を減らしてさまざまなメリットがあると考えられます。しかし、その一方で、注意しなくてはいけないこともあります。避妊効果は高くても、コンドームを使用しない性交をすることで性感染症になる確率が高くなることです。特に子宮頚がんの原因になるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染は、低用量ピルの使用期間が長くなるほど増大します。
それと、ピルの重大な副作用として「血栓症」(血の塊ができる)のリスクがあることです。
15~19歳の女性のリスクを1とした場合、25~29歳で約2倍、30~34歳で約3倍、35~39歳で約4倍と高まるので、40歳以上は慎重投与、50歳以上や閉経後の人は禁忌となっています。また、喫煙も血栓症のリスクが高まりますので、35歳以上で1日15本以上吸う人もピルは服用できません。