世界7.7万人のデータが語る新型コロナ家庭内での感染リスク
昨年の春、新型コロナウイルスの感染拡大が危惧される中で「ステイホーム」という標語がさまざまなメディアを通じて発信されました。不要不急の外出を避け、家で過ごすことで、感染拡大を防ごうというものです。
しかし、感染が拡大し始めた当初に指摘されていた「接待を伴う飲食店」よりも、現在では「家庭内」で感染する人の方が多いという状況です。そんな中、新型コロナウイルスの家庭内における感染リスクを検討した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルに2020年12月1日付で掲載されました。
この研究は、20年10月19日までに世界各国で報告された新型コロナウイルスの感染経路に関するデータを統合解析したものです。54件の研究に参加した7万7758人分のデータを解析した結果、家庭内における新型コロナウイルスの感染率は16・6%と、02年に中国で発生したSARSコロナウイルスの7・5%や、12年に中東で発生したMERSコロナウイルスの4・7%よりも高いことが示されました。
また、家庭内感染のリスクは最初に発症した人が配偶者ではない家族よりも配偶者で、無症状の家族よりも症状が出ている家族で、感染者に接触した人が小児よりも成人であった場合に高まることが分かりました。