<8>母はようやく退院するも足腰が弱って車いすが必要な状態に
看護師さんから連絡があった。
「退院おめでとうございます。尿とりパッドを病棟在庫から使用したので、明日朝10時のお母さまの退院時に持参ください」
■見事なチーム医療に感謝
入院23日目朝10時。たくさんの荷物が乗った台車とともに、防護衣の看護師さんが車いすで母を連れてきた。車いすが必要なほど、やはり相当足腰は弱っているのだ。
「長い間、母子ともにお世話になり、ありがとうございました。まだまだコロナは続きます。ご活躍を祈ります。くれぐれもご自愛ください」
看護師さんに伝え、病院を後にした。
コロナとの闘い。われわれの母子闘病は、私が10日間、母は23日間に及んだ。それぞれの闘病生活にゴールが見えない時期があった。医療従事者は、変異ウイルスの拡大や第4波への備え、ワクチン接種など、ゴールのないマラソンを走り続けているかのようだ。医療現場が非常事態の戦場であることが、この母子闘病で真に理解できた。