知っておきたい新型コロナウイルスと「腸」の深い関係
中国で、入国する外国人を対象に肛門=直腸から採取した検体によるPCR検査が実施されていたのも、腸管で感染した新型コロナウイルスが多いことがわかっていたからで、中国の研究者は「新型コロナウイルスの痕跡を検知可能な時間が気道より肛門の方が長いため確実に検知できる」としていた。実際、咽頭では消失した新型コロナウイルスが腸管で見つかったケースも多く報告されている。つまり、腸は感染の大きな“入り口”であり、ウイルスの“活動エリア”なのだ。
だからこそ、腸内環境を整えることが感染予防や重症化を抑えるために重要になる。
「腸はわれわれの免疫システムの中心的な役割を担っていて、免疫細胞の約70%が腸に集まっています。腸内にウイルスなどの病原体が入ってくると、小腸の中のパイエル板という免疫組織にあるM細胞が病原体を取り込み、さらに樹状細胞が病原体を分解してヘルパーT細胞に伝えます。ヘルパーT細胞が病原体と判断した場合、B細胞に抗体を作るように指令を出し、産生された抗体は体内や腸管の粘液に分泌されて、感染や発症を抑える働きをしているのです」