オリンピックが感染症の流行をつくり出すのはなぜですか?
その後、日本でも帰国者の患者で数例、ジカウイルス感染症が報告された。
【Q】それでは、今回の五輪は開催可能か?
【A】「医学的な観点から考えれば、答えはノーです。東京を主とする現在の感染者数が1日100人以下にならないと、インド株・ベトナム株などが次々と伝播し、再感染が急増して、全国的に大きな負担を強いることになります。米国の雑誌『NEJM』でも、公衆衛生学者らが警告しています。東京における五輪の3密対策および現在の予防接種状態などでの現状は極めて不十分で危険だと指摘、特に柔道、ボクシング、レスリング、ラグビーなど選手同士が激突するようなスポーツは一方が陽性だと他人にうつす可能性が高いと強調しています」
【Q】7月23日までにどんな状況になれば開催が可能になるのか?
【A】「ジョンズ・ホプキンス大学では開催国の70%以上の人がワクチンを打ってから始めるべきだと提言しています。ところが現実には、国内でワクチンを2回接種したのは全体の5%以下。このペースでは開催時にワクチン2回終了の日本人は5分の1にも満たないでしょう。医者として五輪は中止すべきであると思います。特に検査やワクチンのしっかりしていない開発途上国の選手は、しっかりワクチンを接種したり検査したりしてから参加できるのか疑問。それに、スタッフも含めて、海外の人たち全員が非常に隔離された状態で半月ほど日本国内で生活をしてもらう覚悟がない限りは大変心配です。日本の逼迫する医療体制と非効率的な検査、追跡、隔離などを考えると、五輪後に新型コロナウイルス感染が再拡大する可能性が高い。東京、大阪などの医療体制が破綻しているところで治療に当たっている我々医師は憔悴しています」