園子温監督が心筋梗塞を振り返る「もう少し病院が遠かったら死んでいたかも…」
なおかつ、そのとき使ったカテーテルが「シオンブルー」という名前の道具で、シオンづくしの奇跡というお話です(笑い)。
薬は、血液をサラサラにする抗凝固薬や血圧を下げる降圧薬など毎朝6錠飲んでいます。たばこはやめようと思って禁煙していますし、お酒も控えめになりました。ガマンしているというより、以前ほど飲めなくなりました。
退院したての頃は、ほんのちょっとしたことで動悸がしていたけれど、時間が経つと病気したことを忘れかけて、退院して半年ぐらいたった時にうっかりジェットコースターに乗っちゃったことがありました。動きだしてから「あ、乗っちゃいけないやつだ」と思ったんですけど、時すでに遅し。途中でちょっとおかしくなりかけました。
でも、ずっと目をつぶってジェットコースターに乗っているのを頭の中からシャットダウンして事なきを得ました。仕事でも私生活でも心筋梗塞のおかげでいろんな経験をさせてもらったと思っています。
(聞き手=松永詠美子)
▽園子温(その・しおん) 1961年、愛知県生まれ。86年、ぴあフィルムフェスティバルでの入選を機に映画監督として本格始動。その後、国際的な映画祭で次々に賞を獲得した。「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」「新宿スワン」などヒット作も数多く、病気後もニコラス・ケイジ主演「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」、現在公開中の「エッシャー通りの赤いポスト」とハイペースで作品を製作している。