【オウム病】「鳥との接触があったかどうか」が参考になる
「オウム病」は、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)という細菌の仲間による感染症です。オウム病クラミジアはインコやハトなど鳥の体内に生息し、糞と共に体外に排泄されます。糞が乾燥するとオウム病クラミジアが空気中に漂うようになり、ヒトはこれを吸い込むことから感染します。また、口移しで鳥にエサを与えることでも感染するケースがあります。
オウム病の潜伏期間は1~2週間で、急激な高熱と咳が表れて発症します。軽い場合は一般的な風邪程度の症状で済むのですが、高齢者では重症化しやすいため注意が必要です。
発症前に「鳥との接触があったかどうか」が診断の参考となります。病原菌であるクラミジアはレジオネラ菌やマイコプラズマと同様に、ペニシリン系やセフェム系といった抗菌薬が無効であるため、治療にはテトラサイクリン系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬などが用いられます。
オウム病の報告は、ここ数年、年間10件前後の報告にとどまっています。実際には軽症だったため報告されていない潜在症例もあると思われますが、年々減少傾向です。ペットとしての鳥の飼育数の減少などが関係しているのかもしれません。