著者のコラム一覧
安井謙二整形外科医

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

断裂が大きくなると再発率40%…手術するならタイミングが大事

公開日: 更新日:

「腱板断裂」はまず保存療法を行い、もし治りが不十分で患者さんがさらなる治療を決心されたとき、手術治療を行う。これが教科書的なタイミングです。

 痛みがひどい時期は誰もが治療に専念します。しかし、のど元すぎれば熱さを忘れるがごとく、保存治療で痛みさえ取れれば、腱板断裂や病院通いのことなどすっかり忘れてしまいがち。家庭や仕事、趣味に明け暮れてしまうのも仕方ありません。反対に痛みが取れても残った断裂部分を心配し、今後大きく裂けてしまうのを恐れてじっとしているのは人生がもったいないものです。

 しかし本欄で前回、手術しないまま大きな断裂に至った場合、その段階で手術をしても、小さな断裂のときに手術をした場合より良くないとお話ししました。

 報告にもよりますが、大きな断裂では、手術で腱板をつないでも再度裂けてしまう確率は30~40%にもなるとされています。中にはせっかく手術に臨んでも、腱が引っ張り出せなくてつなげられない手術不能例までもあります。

 ただし、実は「再断裂=手術失敗」ではありません。再断裂した範囲が一部にとどまり、残った周囲の筋肉をリハビリし、うまく鍛えられれば、そこそこの機能回復は期待できます。断裂したまま改善を目指す保存治療と同じですね。しかし、その治り具合は、完全修復例を通信簿に例えて「優」から「良」とすると、再断裂例は「良」から「可」くらいの成績です。また「不可」にとどまる例もあります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース