検査で「異常なし。大丈夫」と言われても油断しない
ここで現実的な話をします。自ら「変化」を自覚し、勇気を持ってせっかく受診をしても、たいていの場合、検査結果は「異常なし」となるかもしれません。「なんだ、それなら病院に行く意味がないじゃないか」などと思わずに、どうぞこのまま読み進んでください。
■前段階では「変化」は明らかではない
認知症には、「認知症の前段階」があります。軽度認知障害(MCI)であり、さらにその前の段階である主観的認知機能低下(SCD)です。
認知症の最も多くを占めるアルツハイマー病は、「健康な状態→SCD→MCI→アルツハイマー病」と年単位の時間をかけて移行していきます。なお、SCDの全てがMCIになるのではなく、またMCIの全てが認知症になるわけではありません。研究では、MCIの半数が、5年以内に認知症(アルツハイマー病)へ移行するといわれています。
ご自身だけが変化を感じている段階、あるいは周囲も変化を感じているけど、仕事が普通にでき日常生活も自立して送れている段階は、認知症より前の段階、つまりSCDやMCIの可能性があります。