がんとの共生に「抗がん剤」は必ずしも必要ない 在宅医療の名医が語る「薬」と「延命」

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「現場でがん末期の患者を見てきた立場から言えば、患者の背景や苦しみを見ずに画像や血液データだけを見る『治療優先』のドクターの強引な抗がん剤の継続により、『殺されてしまった』患者も少なくありません。また、悪意はないのですが患者の『治療継続』という強い希望に逆らいきれず、抗がん剤がプラスにならないと分かりながらもやめる選択肢を患者に説明しきれないドクターもたくさんいます」

■薬をやめて2週間後には体重5キロ増

 その後、山中医師は伊東さんに改めて「がんの終末期」であることを伝え、食事も満足に取れず、体重減少が著しい中での抗がん剤の継続は、苦しさが続くだけでなく、残された命がさらに短くなってしまう、と説明した。

「伊東さんは『でも病院の先生は抗がん剤続けてもいいって言ってるから』とおっしゃるので、本人を前にして、抗がん剤を続ける担当医師に電話をしました。担当医は、『本当は抗がん剤をやめたかったんですが、伊東さんの思いに逆らえなくて……』とお話しになりました。伊東さんは涙を流しながらその場で抗がん剤をやめる決断をしたのです」

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