がんの末期に生じる痛みは「在宅」でもしっかりコントロールする
その方は大腸の一部である横行結腸のがんを患う、奥さまと2人暮らしの70歳の男性。
「よろしくお願いします」(私)
「お願いします。お薬はこれですけど、もう病院の先生と薬剤師さんが飲ませないって」(妻)
「しんどい時は飲んでもらっていいと思います。痛みのコントロールは?」(私)
「初めてです」(妻)
「麻薬に近いお薬なんですけど、早めに痛みの薬を出して対応してもいいかなと思うんです。貼る薬を出して、それをベースにして、どうしてもつらい時は飲む薬を出すのがいいかと思います。ただ今日は(病院の)退院日でお薬が出せないので、明日また診察して出しておきます。あと心配なことはありますか?」(私)
「どういう状態なのかはわからなくて。慣れている方ならいいかもしれないんですけど」(妻)
「慣れている方なんかはいらっしゃらないですよ」(私)
看取りに慣れていないのはどなたでもそうです。その不安を皮をはぐように一枚ずつ、ゆっくり一緒に取り除いていくことも在宅医療では大切な仕事。奥さまとお話ししてそのことを改めて考えさせられました。