認知症で一番身近な人間に被害妄想や攻撃性が表れるのはなぜか

公開日: 更新日:

 認知症の患者さんの特徴として、判断力や理解力が低下し、状況把握が難しくなります。そのため、周囲の話の流れを理解できずのけものにされているという被害妄想が表れてしまう。また、感情のブレーキが制御できないので暴力や暴言といった攻撃につながります。

 認知症の中でも、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮する「前頭側頭型認知症」の患者さんは人が変わったように攻撃的になるケースがあります。とくに前頭葉は、思考や感情、判断をつかさどるため人格に影響を与えるのです。

 また、「レビー小体型認知症」は、幻覚などが見えるため不安を抱きやすい。恐怖から暴力性が出るケースがあります。

 そして、被害妄想や攻撃性が一番身近な人に向かうのは、「介護者として近くにいるので確率的に敵視されやすい」というのが、私の見解です。

 認知症の症状では、記憶をつかさどる脳の海馬の働きが縮小し、短期記憶障害が起こって数分、数時間前の記憶保持ができなくなります。そのため、たとえば直前に財布を置いた場所が分からなくなります。患者さん本人は「あったはずの物がない」と考えますが、状況把握力が衰えていますから、自分は何もしていない=盗(と)られたと捉えてしまう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に