担当医の栄転を手放しには祝福できない…がん患者の複雑な心境
Bさんは、3年前に健診で腹部に腫瘤があることが疑われ、胃と大腸の内視鏡検査、CT検査を行い、さらにはMRI検査とPET検査で膵臓がんが疑われ、手術となったのでした。
手術はS医師が担当してくれました。結果はやはり膵臓がんで、それでも「残さず完全に取りきれた」と言われました。
手術後は、抗がん剤の薬物治療を行いました。食事が細くなり、下痢っぽくなったこと、体重が8キロ減ったなどの影響が表れ、体の症状のことはS医師になんでも話しました。忙しいのに、たくさんの患者が待っているのに、S医師はいつも親身になって相談にのってくれ、考えていろいろな指示をしてくれました。そして、これまで再発なく過ごしてきました。ですから、BさんはS医師にとても感謝していたのです。
■定期検査が近づくと心配になる
手術を受けてから、どの新聞でも健康雑誌でも、「膵臓がん」という文字が目に留まると、すぐにそこを読むようになりました。著名人の訃報では膵臓がんの病名がよく目につきます。多くの記事では、「がんの中で膵臓がんが最も生存率が悪い、難治がん」とあり、新薬で治るようになったといったような明るい記事はなかなか見つかりません。