石原藤樹
著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「胃薬」が認知症のリスクになる? 神経医学の専門誌で報告

公開日: 更新日:

 いくつかの「薬」は認知症のリスクになることが知られています。代表的なものは、抗コリン剤といって、自律神経の働きを弱める作用の薬です。また、睡眠薬や安定剤も、その使い過ぎが認知症のリスクになる可能性があります。

 こうした薬はその仕組みから、脳の働きを弱めることが推測出来るのですが、一見無関係の薬でも、その長期使用が認知症のリスクになる可能性が指摘されている薬剤があります。そのひとつが「プロトンポンプ阻害剤」と呼ばれる胃薬です。

 プロトンポンプ阻害剤は強力に胃酸を抑える作用があり、胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療に使われています。しかし、体に必要な栄養素の吸収も抑えてしまうような弊害もあり、最近、その健康影響を指摘する声があります。その影響のひとつとして指摘されているのが、認知症リスクの増加です。

 今年の神経医学の専門誌に掲載された論文では、高齢者に継続して使用した場合のプロトンポンプ阻害剤の認知症リスクが検証されています。平均年齢が75歳の高齢者5700人以上を長期間観察したところ、プロトンポンプ阻害剤の短期の使用では認知症のリスクの増加はありませんでしたが、累積で4.4年以上使用していると、認知症リスクが約30%増加することが確認されました。強い胃薬の使用は、必要最小限にとどめることが必要であるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題