サル痘改め「エムポックス」 日本でワクチンの臨床研究がスタート

公開日: 更新日:

「国内で臨床研究として用いられるワクチンはLC16と呼ばれる日本企業が作ったワクチンです。LC16は昨年8月の薬事承認内容の改定により、天然痘の予防に加え、エムポックスの予防に使用することが承認されました」(尾上医師)

 LC16の対象患者は、①PrEPと呼ばれるHIV暴露前予防の処方を受けている人②男性と性交渉のある男性で過去1年以内に梅毒・淋菌・クラミジアのどれかにかかった、過去1年以内にグループセックスに参加した、現在2人以上の性的パートナーがいる、などに該当する人。すでに研究参加の登録期間は終了しているが、その結果、ワクチンが認められれば、その恩恵を得る人も出てくるはずだ。

 それにしても、天然痘に似たウイルスが引き起こす病気であるならば、治療薬同様ワクチンについてもすでに有効なものがあるのではないか。

 実際、HIV陽性者の中には、エムポックスのワクチンMVA-BNと呼ばれる比較的簡単に打てて実績のあるワクチンがある。にもかかわらず、なぜか、打ち方が面倒で実績のないLC16と呼ばれるワクチンが国内での臨床研究として用いられていることに疑問を持つ人もいる。「国内の特定企業の経済的利益を優先して、患者の健康を後回しにしているのではないか」との声もあるという。

 いずれにせよ、新たな感染症対策は徐々にではあるが、着実に進んでいるようだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  4. 4
    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  5. 5
    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6
    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

  2. 7
    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

  3. 8
    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

  4. 9
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  5. 10
    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し