認知症の親と旅行する際に気を付けるべきポイントは?…準備しておくこと
認知症の方と旅行に行く際ははぐれないよう気にかけ、目を離さないようにしましょう。認知機能が低下すると歩行速度が低下しやすい。家族についていくだけで精いっぱいにならないようスケジュールを詰めすぎず、旅先の観光名所の写真を見せて本人が行きたいと言った場所だけ訪れるなど、なるべく見る場所を限定してください。
その際、上着の内ポケットに名前と連絡先が書かれた紙や身分証、GPS機能が搭載された携帯電話を入れておき、万が一はぐれて保護された際に連絡してもらえるよう事前に準備しておきましょう。
帰宅後も注意が必要です。旅行に行き生活環境が変わると、「知らない場所に来てしまった」と緊張し、その結果、落ち着かなくなり、本来、睡眠障害がなかった人でも夜間に何度も目が覚めるようになったり、家にいてもソワソワして「家に帰らなきゃ」と、夕暮れ症候群を起こしやすくなるためです。緊張状態による不安が1週間程度続くケースも少なくないので、旅行中だけでなく帰宅後も本人を気にかけ寄り添うことを心がけてください。
▽井関栄三(いせき・えいぞう)1979年新潟大学医学部卒業後、同大学大学院進学。84年横浜市立大学医学部精神医学教室入局、2010年順天堂大学医学部精神医学教授を務めたのち、16年シニアメンタルクリニック日本橋人形町を開院し、院長を務める。