ベッド編(1)動作の支点を膝にすれば腰に負担がかからない
力任せの介護で腰を痛める人は少なくない。ベッドに横になっている相手を介護する際、介助者は前かがみの姿勢になるが、何度も繰り返していると椎間板や脊柱起立筋、大臀筋などさまざまな筋肉に負担がかかり、痛みが生じやすい。
「前かがみなどの動作の支点が腰に集中する姿勢では、ぎっくり腰だけでなく椎間板ヘルニアや座骨神経痛といった治療が必要な慢性腰痛につながるリスクがあります。根津式介護技術ではベッド上での介助を行う際、支点を膝に変えて腰にかかる負担を軽減させます」
こう話すのは、力がいらない根津式介護技術を開発した根津良幸氏だ。介護度が低い相手を、食事などの際に起こしてベッド上に座らせる方法を紹介する。
①介助者は相手側に体を向けた状態で立つ②相手の胸のあたりに自分の膝(枕に近い方)を立てる③親指、中指、薬指で輪をつくって相手の両手首を取り、両腕を肩の位置まで引き上げたら、両腕を交差させて胸の位置に下ろす(写真1)④介助者は両手を離して相手の膝の位置に移動し、相手の膝のあたりに先ほどと同側の膝をつき直す⑤中指と薬指を曲げて相手の膝下に差し入れ、片足ずつ膝を曲げて立てる。