夏に暑さでやられないため今すぐ始めるべきこと…東京五輪出場選手が実践
■「熱中症+腸の損傷」を回避
一見関係がなさそうな腸へも、損傷を与える。
「熱放散のために血流が筋肉や皮膚へ多く流れることで、消化管の血液量が減って消化管が酸素不足となり、腸内で炎症が起こります。運動時に下痢や食欲不振が起こることはよくあるのですが、腸での血液量の不足が原因です」
運動による腸の炎症は、暑い環境ほど起こりやすい。後藤教授らの研究では、35度の環境で60分間ペダリング運動をすると、深部温(直腸温)が安静時の37度を上回る38.5度まで上昇。着衣で皮膚に風が当たらない状況では、深部温はさらに上昇した。
腸の炎症の程度は、血液中の「脂肪酸結合タンパク(I-FABP)」量でわかる。腸内にあるI-FABPが、腸の炎症によって血液中に逸脱するからだ。
60分のランニング前後の血中I-FABPを調べた研究では、運動後、I-FABPが2倍に。室温35度での運動では、深部温は38.5度を超え、I-FABP濃度も大幅に上昇した。