(8)「ラパマイシン」を世界の長寿研究者が注目する理由

公開日: 更新日:

 ヒトの老化研究のモデルとして、酵母、線虫、ショウジョウバエ、マウス、ラットなどが使われている。寿命が数週間から数カ月と短く、観察が容易で遺伝子操作が簡単だからだ。しかし、酵母や線虫では得られた成果がマウスでは再現されない、という「種の違いによる差」があり、老化研究を難しくしてきた。

 その代表が「レスベラトロール」の寿命延長効果だ。レスベラトロールとは、ブドウの果皮や赤ワイン、ピーナツなどに含まれる抗酸化作用を持つポリフェノールの一種で、長寿遺伝子を活性させるとされている。

 その効果は03年に酵母、線虫(04年)、魚(06年)、高カロリー餌マウスで同年に報告された。しかし、08年には通常餌で飼育したマウスにはその効果が認められないことが示され、現在も研究が続いている。

「ところが、ラパマイシンによるmTORの阻害は、酵母や線虫ばかりでなく哺乳類であるマウスでも寿命が延びることが証明された。これはmTORの阻害が、種を超えた共通の老化システムに作用している可能性があるということです。それならばヒトでもその可能性があるということで注目を集めたのです。事実、その後も同様の内容が世界中の研究者から報告され、注目に拍車がかかっています」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  5. 5

    中森明菜が小室哲哉、ASKAと急接近! “名曲製造機”との邂逅で「第2の黄金期」到来に期待

  1. 6

    「色気やばい」山﨑賢人のタバコ姿が大反響 韓国で路上喫煙の宮根誠司との反応に“雲泥の差”

  2. 7

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  3. 8

    中野サンプラザ、TOC、北とぴあ…都内で建て替え計画が相次ぎ頓挫する理由

  4. 9

    岩井明愛・千怜姉妹が大ピンチ!米ツアーいまだポイントゼロで「リシャッフル」まで残り5試合

  5. 10

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”