(12)細胞のリプログラミングはどこまで進んでいるのか

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 最近では、京大iPS細胞研究所の研究グループがヒトのiPS細胞から心筋細胞の増殖や血管の新生を促す「心臓周皮細胞」に似た細胞の作製に成功。心筋細胞と一緒に移植することで、心不全の治療効果をアップさせる可能性があるとして、5年以内の実用化を目指すことがニュースとなった。

 とはいえ、発見から18年経過していながら、iPS細胞による再生医療が必ずしも進展しているように見えないのはなぜなのか?

「iPS細胞の実用化にはいくつもの課題があります。例えば、同じ人から採取して培養し生成したiPS細胞でも、増殖や分化にばらつきがあるため、分化能力の低いiPS細胞を用いて臓器や組織を作ろうとすると、分化しきれない細胞が残ってテラトーマと呼ばれる良性腫瘍ができてしまいます。体細胞からiPS細胞を作り出して、目的とした臓器や組織にまで分化させるのに長い時間がかかることも問題です。現在はこうした課題を克服し、実用化するための研究が進んでいます」

 今は「ダイレクトリプログラミング」という手法も注目されている。採取した体細胞に特定の因子を植え込むことでiPS細胞を作る過程をカットし、直接目的とする細胞を作り出す。時間や費用を節約できるばかりでなく、成熟度の高い細胞が作れる。ただし、ダイレクトリプログラミングを誘導する特定の因子を探索することが課題となる。 (つづく)

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