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酒向正春ねりま健育会病院院長

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

関節可動域が認知機能を維持するために重要なのはなぜか

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「50歳頃から体が硬くなってきて、電車に乗っているときなどバランスが悪くなってきました。どうなってしまうのでしょうか?」

 50歳以降、われわれの体は確実に衰えていきます。しかし、せっかくの人生です。健康で、楽しく、気持ちよく生きていきたいものです。

 現実的には、50歳以降は筋肉量が減少し、筋力も柔軟性も低下することで、バランスが悪くなって不安定になり、運動量が落ちて体力が低下します。すると、骨萎縮も進行し、さらに身体活動量が低下することで、孤立が生じて認知機能が急速に低下していきます。

 現在、日本人の死亡人数が多いのは、男性が88歳、女性では93歳です。人生100年時代は現実になっています。そのような時代に95歳まで気持ちよく生きたいと考えるなら、介護にならない心身を保つことが日本人の必要条件になっているといえます。

 これまで、「酒向メソッド」として筋肉と筋力を強化する方法についてはお話ししました。たとえ90歳でも、筋肉は増加して筋力も強化できます。では、筋肉量を増やすにはどれくらいの強度を目安にすればいいかというと、筋肉増強には「筋肉痛が生じる負荷量」が必要になります。

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