更年期突入を控え「稼げるときに稼いでおきたい」。45歳女性“再婚への戸惑い”は特別なのか【冷酷と激情のあいだ〜女性編~】

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コクハク

45歳。バリキャリ女性の深刻な悩み

 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
 魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。

【冷酷と激情のあいだ〜女性編~】

 優香さん(仮名)は、45歳のバツイチバリキャリウーマン。30代の頃に離婚をし、現在は17歳になる娘とともに都心のマンションで暮らしています。

 半年ほど前にアプリで知り合った男性・タカユキさん(50歳・仮名)と順調交際が進んでいて、つい1週間前にプロポーズを受けたばかりとのこと。

 しかし優香さんには、友人に話しても理解してもらえなかった深刻な悩みがあると打ち明けます。

稼げるときに稼いでおきたい

「結婚…かぁって感じで、プロポーズされたのに、まったく気持ちが盛り上がらないんですよね。

 その理由は自分でもわかっています。タカユキさんと私の性格が真逆といっていいほど異なるんです」

 暗い表情で話し始めた優香さんは、妊娠や出産を経験する中、ほとんど仕事を休まずに働き続けてきた女性。

「仕事が好き」だと自覚しているほか、稼げるときに少しでも稼いでおきたい気持ちが強いのです。

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常に仕事を最優先に

「このご時世ですからね、いつ稼げなくなる時代が来るかわかったものじゃないですし。

 それに、女性は更年期障害が出始まると、仕事どころではなくなり退職せざるを得ない人もいるって聞きますから。

 それで既婚のときもシングルマザーになってからも、私は常に仕事を最優先に考えてきました。

 身体が元気に動くうちに稼いだり貯めたりっていうのが私のポリシー。多少のことは犠牲にしても、最大限に仕事をしておきたいんですよ。

 社内の出世も興味がありますが、自分にスキルをつけておけば会社を辞めても通用しますし、何があっても困らないキャリアを築いておきたいのです」

彼は典型的な“昭和サラリーマン”思考

 優香さんは、こう断言したあとにさらに続けます。

「それに対して、タカユキさんはサボり思考っていうか、やってもやらなくても同じ給料がもらえるなら、できるだけ自分は楽をしたいタイプ。典型的な“昭和サラリーマン”思考なんです。

 まぁそんな考え方自体は珍しくもないし、そういう人って男女問わずいますよね。だから驚きはしませんでしたけど、ちょっと呆れたのは事実です。

 でもね、結婚を躊躇してしまうのは、もっと深い理由があるからなんですよ」

 ここまで話したのちに、一段と暗い表情になった優香さん。

 タカユキさんとの結婚に前向きになれない理由は、過去の結婚も関係しているそうです。

結婚すると仕事の感性が鈍る?

「既婚者のステイタスになると、シングルのときと比べて、仕事の感性が鈍る気がしています。

 鋭さが消えてしまうって言うのかなぁ…。自分で言うのもおかしな話ですけど、既婚だとダブルインカムになるから、シングルと比べると“ぬるま湯”に浸かれるじゃないですか。

 それが私の場合は、悪い方向へ作用する気がしてならないんですよ。

 過去に結婚をしていたときとシングルのときを比較すると、仕事への意欲とか頭のキレ、勘の鋭さみたいなものが、シングルのときのほうが研ぎ澄まされている感覚があるんですよね」

 タカユキさんは穏やかな性格で、一緒にいても喧嘩ひとつしたことがないのだとか。前夫が感情的なタイプだったので、タカユキさんの性格は優香さんにとって癒やしの存在にはなっていると言います。

 しかし結婚となると話は変わってくる――。彼からのプロポーズを受けていいものか、日を追うごとに悩みは深刻化しています。

バリキャリゆえの悩み?

「これってバリキャリの女じゃないと理解できないのかな。近しい友人の何人かに話したんですけど、あんまり共感してもらえなかったんですよね。

 だけど私は、今の彼と仮に結婚したとしても生涯を添い遂げるかなんてわからないし、何かあったときに自分のことは自分で守るべき。

 結婚をしても仕事を最優先にしたい気持ちは変わりません。

 もちろん当事者であるタカユキさんにもそう伝えています。

 だけど彼自身がキャリア志向じゃないせいなのか、『ふんふん』と聞いていたけれど、おそらく本質的なところは理解できていない気がするんですよ」

  ◇  ◇  ◇

 結婚によって、せっかく研ぎ澄まされてきていた仕事への感性が鈍ってしまうことを何よりも不安だと話す優香さん。では、そんな彼女にプロポーズをしたタカユキさんは、現状をどう捉えているのでしょうか。

 次回に続きます。

(並木まき/ライター・エディター)

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