則本リリーフ待機も想定外…巨人を追い詰めた「誤算」と「読み違い」の連続
「ボクはイースタンで辛島と対戦したことがあるんです。31日のハウザーは荒れていたから初球から打ちにいきにくかったけど、辛島はまとまっているから初球からいける。球速は140キロが出ないくらい。だけど、ピュッと伸びるから気を付けないといけないですね」
見たことがなくても楽天の先発5番手なんて――。そんな慢心が巨人打線にあったかもしれない。中井が言う「ピュッ」も映像では分からない。巨人は辛島から五回までわずか1安打。この1本はイメージを膨らませていたその中井が放ったものだ。
則本が六回からロングリリーフで5イニングを投げ切ったのも、まさかの展開だった。この試合の前、「則本は九回の抑え起用だろう」と巨人の某コーチは話していた。軟投派左腕から剛球右腕への早めの継投は、巨人ベンチを戸惑わせるのに十分だった。九回に一時は追い付いたものの、延長で勝ち越された。
1勝1敗で東京ドームに帰ってきた際、「マー君が投げる第6戦の前にドームで3連勝して決めたいのが本音」とコーチ陣は口を揃えていた。原監督も東京ドームなら打線は復調すると思っていたはず。それがいまだに不発のまま、シリーズが終わろうとしている。則本の起用法、坂本、阿部ら主軸の不振……。誤算と想定外の出来事が続く中、原巨人が崖っぷちに追い込まれた。