来春独立の報道も…稀勢の里が直面する弟子集めのイバラ道
■故郷・茨城県の人脈は?
ならば、故郷茨城県の地縁はどうか。あるタニマチ筋は「人脈があっても難しいんじゃないか」と、こう言う。
「かつては稲妻や常陸山、男女ノ川といった横綱を輩出した土地だが、現在は特に相撲が盛んというわけではない。茨城県出身の関取はいま、大関高安だけですからね。しかも、ここは同県出身の藤島親方(元大関武双山)が地盤を築いており、立浪部屋も茨城県にある。独立したばかりの部屋が割って入るのは至難の業でしょう」
稀勢の里の先代師匠である鳴戸親方(元横綱隆の里)は、日本でも有数の相撲王国である青森県出身。先代を親のごとく慕っていた稀勢の里ならば、開拓も可能か。
「いやいや、絶対に無理ですよ。青森は地元出身の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の勢力が非常に強く、生前の隆の里ですら手を出すことができなかったほどです。有望な力士で別の部屋に入門したのは、最近だと阿武松部屋の阿武咲くらい。これは別の縁があったからですが……。おまけに伊勢ケ浜親方の後継者である安美錦も青森出身で、師匠は父親のいとこという血縁関係。代替わりしても、青森の地盤をごっそり引き継げる」
独立する多くの親方は数年間、部屋付きをやりながら、人脈を開拓。内弟子の数を揃えたり、入門希望者を確保してからひとり立ちするのが通例だ。
独立の前にやらなければならないことは山ほどある。