由伸監督失敗はコミュニケーションの欠如と周囲の準備不足
とはいえ、指揮官としてのビジョンが見えなかったのも、勝てなかった一因だ。
例えば無死一塁の攻撃の際、2番に坂本勇人を置き、バントなしの一、三塁や、二、三塁にする攻撃的な野球を目指すのか。ヒットエンドラン、盗塁、犠打なら何を好むのか。選手もコーチも、どんな野球をやりたいのか、見えないまま3年間が過ぎてしまった印象だ。
■「外野手でいい監督はいない」
三軍で感じたのは、由伸監督はファームの選手を把握していないのではないかということ。準備期間が短かったとはいえ、多くをコーチ任せにしてしまうと、入れ替えがスムーズにいかないし、二、三軍選手のモチベーションも上がらない。三軍も孤立しているかのようだった。
先週11日に一周忌を迎え、私が現役時代に師事したヤクルトの野村克也監督は「外野手は考えることが少ないから、なかなかいい監督になれない。監督業とつながらないんだ」とよく漏らしていた。
「その点、捕手は打者、投手、走者、ベンチなどの全方向を見渡す。引き出しが増えるため、監督業につながるんだ」とも話していた。由伸は名外野手だったが、やはり外野手監督は難しかったのか。
かくいう私も、その野村監督に当時の正捕手の座から降ろされ、「打撃に専念せえ。適材適所や」と外野へのコンバートを通告された経験がある。