超熾烈!新人王争いの行方…佐藤輝、早川以外も逸材だらけ
今季のプロ野球は新人の活躍がやたらと目立っている。昨秋ドラフトで4球団が競合した阪神1位の佐藤輝明(22=近大)は、持ち前のパワーをいかんなく発揮し、オープン戦では新人記録を更新する6本塁打をマーク。広角に打ち分ける技術もあり、気の早い在阪メディアは「セの新人王は間違いナシや!」と興奮気味だ。
パでは、同じく4球団が競合した楽天1位の早川隆久(22=早大)が前評判通りの投球を披露。14日のDeNA戦でも4回無失点と好投した。前回登板時は変化球を投げる際、腕の振りが緩むクセが露呈したものの、きっちり修正。開幕3戦目(28日=日本ハム戦)での先発が決まった。こちらも新人王の最有力候補とされているが、今季は対抗馬となる新人がゴロゴロいる。
2番打者の適性
セはDeNA2位の牧秀悟(22=中大)の評価が高い。オープン戦では、二塁、一塁を守り、打率.308。スポーツライターの安倍昌彦氏の話。
「バットコントロールに長け、中堅から逆方向への打球が伸びる。大学時代は相手投手の左右を問わずコンスタントに安打を打ち、ポイントゲッターとしての能力も高く、大学代表の4番を任された。プロでは内角の速い球への対応など、課題はありますが、ハンドリングもうまいので進塁打が打てるし、エンドランも仕掛けやすい。『2番』としての適性もあると思う。100試合以上に出場し、打率2割7分以上の成績を残すことができれば、チームの勝利に貢献する回数も多くなる。新人王のチャンスもあるでしょう」
身体能力高い「北の大器」
広島1位の栗林良吏(24=トヨタ自動車)も、即戦力右腕として期待が高い。17日のヤクルト戦まで対外試合は6試合連続無失点。佐々岡監督には抑え起用の構想もある。広島OBの評論家・山内泰幸氏がこう話す。
「キャンプのブルペンでは少し球が浮きやすいのかなと思いましたが、実戦ではある程度、低いところへ投げられる。例えばフォークにしても高めに行った次のボールをきちんと低めに制球するなど、修正能力があり、相手の打者の反応を見ながら投げられるので、実戦向きの投手だと思います。大学、社会人で経験が豊富で、先発も抑えもできると聞いています。一球一球気合を入れて投げる姿を見ても、リリーフにも向いていると感じます。守護神が予定されていたフランスアが故障で開幕に間に合わない中、思い切って抑えで起用してもいいのかなと思います」
パでは、日本ハム1位の最速155キロ右腕・伊藤大海(23=苫小牧駒大)が調子を上げてきている。14日の広島戦では7回4安打無失点と好投。それまで3試合の実戦登板(降雨コールドになった紅白戦を除く)ではそれぞれ失点していたが、開幕ローテ入りも視野に入ってきた。
150キロを超える速球には力があり、変化球も多彩。身体能力も高く、大学最後の試合となった星槎道都大戦では「7番・投手」として打席に立ち、左中間に特大の二塁打。足もめっぽう速いとか。
「投手としては学習能力、修正能力があり、序盤に打たれても試合中に修正できる。課題は体の開きが早く、一塁側に大きく体が倒れるときもあった。打者からすると球が見えやすい部分もあるが、そこは本人も自覚。オープン戦では自身でフォームを微調整するなど、修正する姿勢がうかがえます」(日本ハムOB)
ロッテ1位左腕の鈴木昭汰(22=法大)は開幕3戦目のソフトバンク戦での先発が内定した。4年連続日本一球団相手に計8イニングを投げて無失点と結果を残す。前出の安倍氏が言う。
「馬力があって、一つ一つの球種はプロで通用するものを持っていると思う。課題は立ち上がりでしょう。大学時代、立ち上がりに球道が乱れるケースが何度かあった。初登板で初回の打者3人をどう抑えるかに、今季の成績がかかっているといっても大げさではないかもしれません。初登板できっかけさえ掴めば、波に乗って、2017年のDeNAの左腕、浜口(10勝6敗)のように好成績を残す可能性を秘めています」
新人王資格者ならオリ宮城
新人王資格がある若手も、虎視眈々とタイトルを狙っている。セではヤクルト2年目右腕の奥川恭伸(19)が一軍キャンプに帯同し、オープン戦でも一軍で投げ続け、登板機会は増えそうだ。
パは同じく高卒2年目のロッテの佐々木朗希(19)がプロ初登板を果たしたが、こちらは開幕後は二軍で実戦経験を積む方針だ。
「同じ高卒2年目なら、オリックスの左腕・宮城大弥(19)が面白い」とは、オリックスOB。
「すでに開幕2戦目の先発が決まっている宮城は、新人王を取ることを目標に掲げている。最速150キロの速球は右打者に対し、クロスファイアで内角をグイグイ攻められる。コースに投げ分ける制球力もある。1年目の昨季は、3試合に登板し、高卒ルーキー一番乗りでプロ初勝利を挙げるなど、1勝1敗、防御率3.94。この経験を生かし、オープン戦2試合で、2勝、防御率0.90と好投を続けている。キャンプでも、1時間くらい念入りにウオーミングアップをしてから、練習に取り組んでいた。野球への意識、意欲が高く、ハングリーさもあるので一気に飛躍するかもしれません」
ただでさえ逸材が多い中、今季はコロナ禍で一部の外国人選手の来日が大幅に遅れており、新人はより多くのチャンスを得られるはず。逸材たちによる新人王争いは例年以上に白熱しそうだ。