U18選外で花巻東・麟太郎の進路問題はこれからが本番…大学かプロか、双方の動向と思惑
西武1位に追従する球団
プロ側も動きを見せ始めている。甲子園ではノーアーチに終わるなどプロへのアピール材料に乏しかった。ある球団のスカウトからは「守備、走塁のレベルが低い上に、持ち前の打撃もスイングに無駄な動きがあるなど、大幅な修正が必要」といった厳しい声が聞かれた。
評価を下げ、1位候補から外した球団がある一方で、将来性を加味して「麟太郎シフト」を組んで1位指名を検討している球団がいくつかあるという。その代表格が西武だ。
編成トップの渡辺久信GMは7月、花巻東の岩手県大会初戦を視察。本気度の高さをうかがわせた。
「西武は中村剛也を筆頭に、巨体の選手を積極的に獲得し、能力を開眼させてきた実績がある。その中村は今年40歳を迎えた上に、4番の山川穂高が女性スキャンダルによって事実上の謹慎を余儀なくされている。司法の判断によっては退団もあります。同じくぽっちゃり体形の渡部健人もいますけど、大砲が喉から手が出るほど欲しい西武はすでに、1位指名を決めたとの話も聞こえてきます」(アマ担当記者)
西武以外にも、阪神や日本ハム、オリックスなどが1位候補に挙げる中、「西武が麟太郎の1位指名を確定すれば、その流れで複数球団が手を挙げるでしょう。ソフトバンクも麟太郎に関心を示しているようです」と、東日本の球団の編成担当がこう続ける。
「王貞治球団会長が麟太郎のスラッガーとしての将来性に魅力を感じているといいます。飛ばす能力は天性のものを持っていますからね。ソフトバンクはかつてトリプルスリーを獲得した柳田悠岐に次ぐスラッガーがいない。その柳田も今年10月で35歳。近年は清宮幸太郎(17年ドラフト→日本ハム)、佐藤輝明(20年ドラフト→阪神)と大砲を1巡目指名したものの、クジで外している。麟太郎がプロ入りを決断すれば、ソフトバンクも手を挙げる可能性はあるとみています」
プロが1位を確約すれば、かねてプロ志向が強い麟太郎のプロ入りが前進するのは間違いない。佐々木家の家族会議の行方はいかに──。