「(萌えすぎて)絶対忘れない!妄想古文」 三宅香帆著
「伊勢物語」の主人公、在原業平は光源氏と並ぶモテ男だった。
伊勢神宮の祭神に仕える斎宮と恋に落ち、夜、斎宮が業平の寝所を訪れたが何事もなかった。翌朝、斎宮から「君や来し我や行きけむ思ほえず夢かうつつか寝てか覚めてか」という和歌が送られてきたので、「掻き暗(くら)す心の闇に惑ひにき夢うつつとは今宵定めよ」と返歌を送って、その夜会おうとしたが、一晩中宴会が続いたために会えなかった。
次の朝、斎宮から「かち人の渡れどぬれぬえにしあれば」と上の句が送られてきたので「また逢坂の関は越えなむ」と、会いにくるという下の句を付けて旅立った。斎宮の未練を感じる歌に、業平はスマートに誘ったのだ。(「伊勢物語」)
ほかに、中宮定子と清少納言のレズっぽいやりとりなど、古典が身近に感じられる入門書。
(河出書房新社 1562円)