「猫の王」小島瓔禮著

公開日: 更新日:

「猫の王」小島瓔禮著

 猫は、身近なペットであるとともに、招き猫のように信仰の対象であったり、化け猫のように怪異な魔物として昔話に登場したりしてきた。それはペットとしての人懐こさと、猛獣としての激しさを併せ持つ猫の行動の観察から、人間が勝手に自分たちの心を投影してきたものである。

 本書は、そうした猫に関する精神文化が生まれてきた背景を解き明かす民俗学テキスト。

 熊本県の阿蘇五岳のひとつ根子岳(猫岳)には、「猫の王」の言い伝えがある。猫岳には猫の王がすみ、節分の夜には周辺の猫がみなこの山に集まるというもの。猫に社会があり、猫の王がいるというこの観念は、国内各地だけでなく、イギリス諸島にもあるという。

 以降、古今東西の膨大な文献を読み解き、猫の怪異と魔性の伝説の謎に迫る。 (KADOKAWA 1914円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭