夢の抗がん剤「オプジーボ」はどこまで値下がりするのか
オプジーボをいまの価格で5万人のがん患者が1年間使えばその費用は1兆7500億円に達するとの試算もある。値下げは当然だが、問題はなぜオプジーボの価格はこれほどまでに高く設定されたのか、だ。
「2年前の発売当時、年470人程度の皮膚がん患者で採算が取れるように価格決定したからです。ところが、昨年12月に肺がんへの適応が決まり、対象患者数が一気に年1万5000人程度に急増した。このとき、C型肝炎新薬と同じように特例拡大再算定を適用していれば、4月に値下げできたのに、なぜか素通りした。そもそも皮膚がん患者より先に肺がん患者を対象に発売していれば、これほど価格が高くなることもなかった。それもあって儲けすぎとの批判が集中したのです」(都内の開業医)
■政府は年度内にも50%値下げで最終調整
この批判に拍車をかけたのが全国保険医団体連合会(保団連)の調査。オプジーボ100ミリグラムの価格は英国で約15万円、米国で約30万円に対して日本は約73万円だと暴露したのだ。
「50%値下げしてもまだ米英より高いのですから政府内からの批判も当然です。しかし、本来なら怒るべき国民は声を上げない。オプジーボがいくらになろうが、医療費の月額上限を定めた高額療養費制度により、患者の負担は変わらないからです。それはとても危険なことです」(村吉氏)