【喀血のカテーテル治療】国立病院機構東京病院呼吸器センター(東京都清瀬市)
■肺や気管の動脈径が1ミリを超えれば検討
呼吸器内科が行うBAEのメリットは何か。
「私たちは喀血の患者さんを長い経過で診ていることが多いので、血痰症状が悪化してくれば『そろそろBAEをやった方がいい』と、計画的に治療ができるのです。出血に関与している気管支動脈などの太さが1ミリ以上になればBAEを検討します」
BAEは局所麻酔で行う。太ももの付け根や手首の血管からカテーテル(細い管)を挿入し、3DのCT画像を見ながら出血部まで進めていく。さらに、髪の毛ほどの細いカテーテルを標的病巣まで先進させ、金属製のコイルを押し出す。するとコイルが丸まって血管をふさぐという治療法だ。所要時間は2~3時間。前日入院で、多くは治療の翌々日に退院できる。
「出血部にゲル状の薬剤を注入して血管をふさぐ方法もありますが、それだと薬剤が溶け流れて再喀血が起こりやすくなります。コイルを使った当科の場合、過去500例で見た全体の治療後1年の止血率は約90%です」
ただし、感染症が原因の喀血の場合、その後の感染症の治療もうまくいっていないと止血率は落ちる。非結核性抗酸菌症による喀血の止血率は1年後で88%、3年後で75%。肺アスペルギルス症では1年後で75%、3年後で50%だ。