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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

死亡者数が最多 肺がんを減らすにはまだまだ時間がかかる

公開日: 更新日:

「喫煙者が減っても肺がん増えた」「たばこってそんな関係あんの?」――。2月末、麻生太郎財務相のこんな発言を取り上げた報道がありました。衆院財務委員会で、喫煙者が減っていることについて触れる中で、「肺がん(の患者数)は間違いなく増えた。たばこってそんな関係あんのって、いろんな人に聞くんです」と述べたといいます。麻生氏は愛煙家として知られ、喫煙と肺がんの因果関係に疑問を示した形だとありました。

 麻生氏と同じような疑問を抱いている方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、実は喫煙者が減ってもすぐには肺がんは減ってこないのです。

 肺がんのハイリスク者とは、「喫煙指数」(1日の喫煙本数×喫煙年数)が400あるいは600以上(過去における喫煙者を含む)、あるいは6カ月以内に血痰があった場合をいいます。

 たとえば、1日20本吸う人は30年で600になります。つまり、肺がんには「喫煙期間の長さ」が関係していることを示しているのです。

 1960年代後半、喫煙者は男性の80%以上、女性は10%程度でした。当時の映画の中では、俳優がカッコよく煙をはいているシーンを見せていました。その後、少なくとも約20年間は、たとえ病院の診察室でさえ愛煙家の医師によって、また夜勤の看護婦(師)さんの控室でも、火災用のスプリンクラーが作動するのではないかと思われるほど、たばこの煙に満ちていたことがあるのです。今ではとても信じられないことです。

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