大動脈二尖弁の再手術で考えさせられたこと
1回目の手術の影響でやりづらさはあったものの、無事に新しい生体弁に交換することができて、心機能も改善しました。ただ、「将来的に生体弁が劣化してもTAVIを受けることができるから」という理由だけで、安易に生体弁を選択するケースについては、あらためて考えてみる必要があると感じています。
生体弁に交換した場合、生体弁そのものに細菌が巣くって感染性心内膜炎を起こす可能性が一定の割合で存在します。そうなると、TAVIの対象ではなくなってしまうため、結局は再手術をして弁を交換し直さなければなりません。現在、将来的なTAVIを考慮して生体弁を勧めているのは、「感染性心内膜炎が起こらない」ことを前提にしています。しかし、弁を交換して感染性心内膜炎を起こす可能性はどの患者さんにもあるのです。
最近は機械弁の性能もよくなっているので、抗凝固薬さえ飲めばトラブルを起こすことなく30~40年は持つケースもありえます。将来、起こりうるあらゆる状況を考慮して、患者さんにしっかりとインフォームドコンセントを行い、術式を考えて選択しなければいけない。そう、あらためて感じています。