公費による中学生のピロリ菌検診・除菌になぜ慎重論が?

公開日: 更新日:

 それでも「小児のうちに除菌をした方が胃がん発症リスクが低くなる」といったエビデンスがあれば、話は変わってくるかもしれない。

 ところが、「ピロリ菌除菌が胃がん予防になる」というエビデンスはあるが、「小児のうちに」というエビデンスはない。さらに、ピロリ菌除菌をしても胃がん発症リスクがゼロになるわけではない。

 小児でも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、鉄欠乏性貧血などには、ピロリ菌除菌治療を行う。この場合内視鏡検査後、胃から採取した菌を培養し、複数ある除菌薬のうちどれが効くか感受性を調べる。慎重に慎重を重ねてピロリ菌除菌をするのは、これらの病気の治療に不可欠だからだ。症状が全くない中学生に安全性が認められていない薬を使うのとはワケが違う。

「感受性を調べて投与すれば、除菌成功率は90%を超えます。ところが一般的な除菌では、感受性の検査は行いません。中学生では内視鏡検査もしない。ピロリ菌除菌の成功率は成人で70~80%、2回目で90%強といわれていますが、小児では2回目で80%弱です」

■理想は「早期除菌」だが…

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」