AIは患者さんと一緒に悩むことができない
胃がんが見つかり、1カ月前にS病院で胃を3分の2切除する手術を受けた主婦のAさん(48歳)は、退院後の外来で担当医からこう告げられました。
「病理診断の結果、胃に接するリンパ節に転移がありました。でも、ステージⅠですので、再発予防のための抗がん剤治療は必要ありません」
Aさんは「リンパ節転移があったのに、大丈夫なのだろうか?」と心配になり、Eがん専門病院でセカンドオピニオンを受けることにしました。
そこでは、胃外科のG医師から「胃がん治療のガイドラインで、ステージⅠでは手術後の化学療法は勧めていません。当院でも、ステージⅠには化学療法は行っていません」と言われたそうです。
そして、「詳しくは読んでいただければ分かります」と、ガイドラインが書いてある数枚のプリントを渡されました。それは、手術をしてくれたS病院の担当医からもらったものと同じでした。
Aさんはその時の様子をこう振り返ります。
「G医師は見るからに面倒くさそうでした。パソコンの画面ばかり見て、患者と顔を合わせようとしないのです。私の悩みや不安を少しも分かってくれない。これなら、医者ではなくロボットが目の前に座っていてくれた方がよかった。人工知能を搭載したロボットの対応ならば、腹が立たないようにも思います」