脳性麻痺の寺田ユースケさんが語る 挫折と感動そして挑戦
それが過ぎると、退院まで1日12時間のリハビリをやりました。大変でしたが、人生で初めて踵を着いて歩いたときの感動は忘れられません。それまで30メートル歩くだけで息が上がっていたのに、ゆっくりなら1~2キロも歩けるくらいになりました。
最大の挫折は大学1年のときです。一人暮らしを始め、やる気満々で強豪の障害者野球チームにも入って「俺はここで活躍するんだ」と思っていたのに、やっぱり走れないからレギュラーになれないと知り、完全に挫折しました。掃除も洗濯も食事も困難で、部屋はゴミ屋敷と化し、恋愛もうまくいかず、麻雀とパチスロにはまって荒れた時期もありました。
それを救ってくれたのは車イスです。それまでは「車イスに乗ったら負けだ」と拒否していましたが、いざ乗ってみたら「あれ?」と思うほど快適で、一気に行動範囲が広がりました。ボクにとっては魔法のアイテム。「かぼちゃの馬車」と呼んでいます。
それからのボクは、いろいろなことに挑戦しました。お笑い芸人、車イスホスト、「車イス押してくれませんか?」を合言葉に出会った人に車イスを押してもらいながらゆくヒッチハイクの旅……。そして今は、去年出会って結婚した妻と一緒に「寺田家TV」というユーチューブの動画を毎日つくっています。