ブームは下火?「赤ワインが体にいい」はどうなったのか
この研究結果がアメリカのテレビ局に取り上げられると、瞬く間に世界中で赤ワインブームが巻き起こりました。日本でも当時は中高年の男女が好んで赤ワインを飲んでいたのを記憶している人も多いと思います。
しかし、私には当時よりも赤ワインブームは下火になっているように感じられます。それは、以下の理由が考えられます。
①ポリフェノールを取るだけが目的なら、わざわざ赤ワインでなくともコーヒーやニンジン、ゴマなど身近なものでも十分取れる。
②日本人は心臓病の発生率が低い。体質的にアルコールの分解能力が低い日本人が酒による危険を冒してまで、心臓病予防のために赤ワインを飲む理由がない。
③アルコールには動脈の中で血液が固まってしまうのを防ぐ抗凝固作用がある。心筋梗塞は冠動脈の血液が固まる病気なので、アルコール自体による心筋梗塞予防かもしれない。
もちろん、1万3000人を対象にしたデンマークの研究のように「ワインをたくさん飲んでいた人ほど死亡率が低く、そのような傾向は他のお酒では認められない」という報告もたくさんあります。しかし、これはお酒の種類の違いというよりもつまみの違いが原因かもしれません。