【肛門】お尻のかゆみの原因は「拭き残し」か「拭き過ぎ」
肛門は、肛門入り口と直腸粘膜の境目に「歯状線」という部分があり、そこを挟んで奥(直腸側)と外に網の目のように静脈が密集している「静脈叢」がある。この静脈叢がうっ血して大きく膨らむのが「いぼ痔(痔核)」で、奥の静脈叢が膨らむのが「内痔核」、外の静脈叢が膨らんだ状態が「外痔核」だ。
歯状線より奥(直腸)の傷や出血は痛みを感じないが、歯状線より外は小さい傷でも出血が多く、痛みが強い。この特徴によって、お尻を拭いたときの「血が付く」原因がある程度、見当がつく。
「排便後にペーパーに血が付いていたら、痛みを伴わなければ多くの場合は内痔核のうっ血による出血でしょう。強く拭き過ぎると起こります。痛みを伴うようなら裂肛の可能性があります。ただし、痔核の出血と思っても直腸がんなどの可能性もありますので、『痛みのない出血』は必ず受診してください」
いずれにしても痔疾患を防ぐには、便秘にならない食事をすることが大切になる。それには食物繊維と水分をしっかり取ること。
食物繊維には便の量を増やし、腸の運動を活発にする「不溶性」と便を軟らかくする「水溶性」の2種類がある。サラダなどで取れる不溶性の繊維の量は限られてしまうので、食物繊維を多く取るには海藻や里芋など水溶性のものがお薦めという。